【2021年度版】ドライブレコーダーはどんなものを選べばいいの?事故鑑定のプロが教えます!

交通事故が発生した時に事故の所在を明らかにするためのドライブレコーダー。
しかし、機種によっては事故の映像がしっかりと記録できていないものもあるので注意が必要です。
どのような視点で選定すべきか、延べ200件以上の交通事故鑑定をしてきたプロの交通事故鑑定士が解説します。

ジェネクスト株式会社 代表取締役
交通事故鑑定士 笠原一

千葉県八街市で下校途中の小学生の列に突っ込み死傷者が出た事故など、2021年も凄惨な事故が発生してしまいました。
当社はドライブレコーダーの映像を3Dモデル化し、過失修正に必要な速度、角度、距離を高精度で算出する独自の特許技術を保有しており、保険会社や弁護士事務所などの依頼を受け、裁判資料として交通事故の鑑定書を作成する仕事をしています。
鑑定の結果、事故の過失割合が8対2から1対9に逆転した事例もあります。

しかし、中にはご依頼いただいてもドライブレコーダーの映像記録が十分でないため、鑑定をお断りするケースも多数あります。
そうならないために今回、当社がドライブレコーダーを選定する上でポイントとなる点を解説させていただきます。

ポイントは5つ。ここは絶対チェックして!

ドライブレコーダーを選定する上で必ず押さえなければいけないポイントは、「(1)映像品質」「(2)衝撃耐久性」「(3)メンテナンス/出力形式」「(4)記録方法/記録時間」「(5)時計精度/フレームレート」の5つになります。
それでは、項目ごとに見ていきましょう。

(1)映像品質

ドライブレコーダーでは、高解像度の映像が撮れる「フルHD(200万画素以上)」を選んでください。
というのも、HD(90万画素)やVGA(30万画素)の映像では、走行時の他車のナンバープレートはほぼ読み取ることができないからです。
可能なら300万画素以上のものを選んだほうがベストです。

例えば、当て逃げされたときにドライブレコーダーの映像から相手の車両を特定しようにも不可能なことがあります。
また、当社の映像による事故鑑定では、サイズが規格で決まっている標識や信号機を頼りに相手車両などとの距離を割り出すのですが、その際も高解像度の映像であるほど分析の精度は高くなります。

ここで実際に解像度によってどれほど映像の鮮明さに違いがあるのかを見てみましょう。

低解像度のドライブレコーダーではナンバープレートが全く写っていない様子などがお分かりいただけるかと思います。

また、ドライブレコーダーのカメラ画角は115度以上あるのが理想です。
最近は後方監視を兼ねるため360度撮影ができる機能を売りにした商品も出ているが、映像がゆがみ過ぎていて、事故の鑑定作業はしづらいという事情がございます。尚、スマートフォンをドライブレコーダー代わりに使えるとうたうアプリも登場しておりますが、例えばiPhone Xのカメラの画角は75度しかなく、これだと側面衝突は映らないことがほとんどです。

(2)衝撃耐久性

ドライブレコーダーはフロントガラスの上部、ルームミラーの裏側辺りに装着するケースが一般的です。
形態としては、強力な両面テープ付きの土台からアームが伸び、その先に本体(カメラ、液晶)がある「ブラケット型」が主流となっています。
しかし、可能であれば「本体一体型」のものを選定されることを推奨します。

「ブラケット型」のドライブレコーダー

「本体一体型」のドライブレコーダー

「ブラケット型」の問題点は、交通事故の衝撃でジョイント部からアームが折れ曲がったり、アームの先に付いた重い本体がテコの原理で激しく揺さぶられて土台ごと外れたり、事故の映像がしっかり記録できていないケースがあることです。

その点、フロントガラス上部に直接本体を密着させる「本体一体型」なら、そうした心配は限りなく少なくなります。
装着する車種ごとにフロントガラスの角度が違うため、あらかじめ画角を最適化しやすいディーラーオプションに多いタイプです。
例えば、ボルボでは本体一体型以外では本国の衝撃耐久性テストに通過できないというほどです。

市販品としては、ブラケット型のようにアームがなく、ジョイント付きの土台部分に直接本体が付いている中間タイプ「ブラケット一体型」も存在します。ただ、一定期間でチェックしておかないと、ジョイント部が緩んでいる可能性があるのはブラケット型と同じになります。
最優先で選ぶべきは、本体一体型です。

(3)メンテナンス/出力形式

一般にドライブレコーダーの記録形態は、1~5分ごとに作成される映像ファイルがSDカードにたまっていき、SDカードの容量いっぱいになると古いファイルから上書きされる方式が主流となっています。しかしここで問題があり、ある年数ドライブレコーダーを使い続けていると、断片化されたゴミファイルがSDカードにたまり、新たな書き込みができない現象が起こります。

こうしたSDカードの不具合で「事故映像が撮れていない」というリスクを減らすためには、「記録媒体の『メンテナンスフリー機能付き』と記載のあるモデルを選びたいところです。専用のファイルシステムで録画ファイルの断片化をなくし、エラー発生率を低減する機能になります。

また、ドライブレコーダーに記録される動画ファイルの形式についても、注意を払う必要があります。望ましいのは、MP4やAVI、MOVファイルといった一般の動画ビューアーで確認できる形式で記録されていることです。メーカーの独自形式を採用しているケースも散見されますが、記録映像にどんな調整をしているかが定かではなく、裁判資料としての信頼度は弱くなる可能性があります。

(4)記録方法/記録時間

ドライブレコーダーの記録方法には、大きく2つあります。衝撃を感知したイベント発生時のみ前後の一定時間の映像を保存するタイプ「衝撃感知型」と、走行時の映像を常時記録しながら、イベント部分の映像を別のフォルダに格納するタイプ「常時記録&衝撃感知型」です。

このうち「衝撃感知型」は、事故の証明という面では不利になる可能性があります。
ドライブレコーダーの映像による事故鑑定では、事故時の車両のアクセル・ブレーキ操作によるサスペンションの角度変化に対する映像補正などをし、高い精度で位置を特定します。これには平常時の映像が十分撮れていて、その差分を検証する必要がありますので、当然、残された映像は多ければ多いほどいいということになります。したがって「常時記録&衝撃感知型」のものを選びましょう。

ただし、「常時記録&衝撃感知型」だとしても、安心するのは早計です。イベント記録時間の設定が短い場合があるからです。イベント映像を切り出すタイプはもとより、常時記録映像とイベント映像を両方残すタイプでも、事故発生後の混乱の中でエンジンを切り忘れ、ドライブレコーダーの電源がオンのままだと、肝心の事故前後の映像が新規の上書きで消えかねません。

そのため、最も重要なのはイベント記録時間ということになりますが、ドライブレコーダーの映像を解析するに当たって、事故前の映像が『30秒以上』あるのが望ましいです。

交通事故は、現場の状況によって基本過失が決まります。事故現場が交差点なのか優先道路なのか、信号機があるのかないのか、右直事故なのか正面衝突なのかといった具合です。これを基に道路交通法の違反などを加味して、最終的な過失割合が定まります。このとき事故前の映像が長く残っていれば、速度超過などの相手のクルマの違反を発見できるかもしれないし、道路状況の確認もしやすいです。先述したサスペンションの角度変化による映像補正も可能です。当社の経験上、それに必要なのが、多くの場合30秒以上となります。

ところが、現状ではイベント記録時間が30秒に満たない機種が少なくありません。映像が高画質化しているためか、『事故前15秒』というのが一般的なスペックとなっています。特に保険会社などが提供している通信型のドライブレコーダーでは、サーバーに送るデータ量を軽くするため、イベント記録時間を短く抑える傾向があります。とはいえ、イベント記録時間を「前60秒」とする機種もあるので、万全を期すならこちらを選びたいところです。

(5)時計精度/フレームレート

当社の事故鑑定では、動画のフレームごとの分析により事故当時の関係車両の速度を割り出します。この際、ポイントとなるのはGPS搭載の有無と、撮影映像の設定フレームレートです。

まずGPS搭載モデルなら、「ドライブレコーダー本体の時計のみの情報よりも時間軸の証明がしやすい」という利点がある。例えば、自らのクルマが直進している際に右側から飛び出してきた車両との事故が発生した場合。ドライブレコーダーには正面の信号が青と映っていても、右から来た相手のクルマ側の信号の証明にはなりにくいのです。事故鑑定の際は相手方の信号の点灯サイクルを警察から取り寄せて、ドライブレコーダーの時間軸と照合して検証します。そこで必要となるのがGPSによる正確な時間というわけなのです。

一方、動画のフレームレートについては、致命的ともいえる問題が孕みます。現在、全国で導入が進んでいるLED信号は常時点灯しているように見えますが、実は50Hz帯の関東エリアで1秒間に100回(50回点灯)、60Hz帯の関西エリアで1秒間に120回(60回点灯)の点滅を繰り返しています。

例えば、関西エリアのLED信号を動画のフレームレートが「30fps」のドライブレコーダーで撮るとどうなるでしょうか。
30fpsとは1秒間に30コマの静止画を撮影するということになりますので、LED信号の点滅サイクルと同期してしまうと、ほとんど信号の色が映らないという事態になります。その確率は、実に2分の1。これでは、いざというとき事故の証明に使えません。関東エリアでも、フレームレート25fpsのドライブレコーダーなら同じことがいえます。海外からの輸入品など、30fpsの製品は意外に多く出回っているので注意が必要です。

そのため、動画のフレームレートは「26.5~28.5fps」と、基本的に50Hz、60Hzの「約数」にならないように設定されたドライブレコーダーを選ぶのが得策です。ただし、メーカーによっては30fpsと記載していても、撮影時のフレームレートを変えて再生時に30fpsとすることで、「LED信号機が消灯状態で記録されないようにフレームレートを調整済み」としているケースもあります。

フレームレートに関連して、「光可変フレーム機能」を搭載したドライブレコーダーも大きな問題を抱えるといえます。これは、トンネル内など暗所の映像をきれいにするため、フレームレートを自動で調整する機能です。先述した通り、映像鑑定ではフレームごとに分析して事故当時の速度を割り出すため、そもそものフレームレートが固定されていないと、検証は不可能になります。“便利機能”と思いきや、いざというときの証拠能力を大きく毀損します。最も注意したい項目です。

まとめ

以上、ドライブレコーダーを選定する上で、5つのポイントを解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

数年前からマイカーや社用車に「装着済み」のドライブレコーダーは、適切なポイントを満たしていない可能性があります。
スペックを再確認し、必要があれば買い替えを検討するのもよいかもしれません。

長々とお読みいただきましてありがとうございました。

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