2006年8月25日、福岡で幼児3人が死亡する事故が発生するなど飲酒運転による死亡事故が大きな社会問題となりました。
この社会問題を受け、各方面で取り組みを行い、2007年の飲酒運転厳罰化、2009年に行政処分強化などにより飲酒運転による交通事故は減少傾向にあります。
しかし、いまだ飲酒運転による悲惨な交通事故はなくなっていません。
また、2021年6月28日に千葉県で飲酒運転のトラックが下校中の小学生の列に突っ込み、児童2人が死亡、3人が大けがを負った事故が発生。事故後にトラックの運転者からは基準値を超えるアルコールが検出されましたが、運転者はアルコールチェックが義務化されていない白ナンバーのトラックを運転していました。
この事件を受け、2022年4月からは白ナンバー車両を規定台数以上使用する企業においても運転前後のアルコールチェックの実施が義務化され、普段の業務で車を運転する方々も日々飲酒運転が発生しないようチェックを受けておられるかと思います。
この記事では改めて飲酒運転の危険性やアルコールチェックの重要性についてまとめます。
自身が痛ましい事故を起こさないよう、今一度、飲酒運転の危険性を深く認識しましょう。
1.飲酒運転の行政処分
まずは飲酒運転をした場合の行政処分は下記のようになります。
2.飲酒運転の罰則
罰則は飲酒運転をした人だけでなく、これから車を運転する人にアルコールを提供したり、飲酒運転している人の車に同乗しても懲役又は罰金が発生します。
・車両等を運転した者
酒酔い運転をした場合 5年以下の懲役又は100円以下の罰金
酒気帯び運転をした場合 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
・車両等を提供した者
(運転者が)酒酔い運転をした場合 5年以下の懲役又は100円以下の罰金
(運転者が)酒気帯び運転をした場合 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
・酒類を提供した者又は同乗した者
(運転者が)酒酔い運転をした場合 3年以下の懲役又は50円以下の罰金
(運転者が)酒気帯び運転をした場合 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
3.飲酒運転の危険性
飲酒運転はアルコールの麻痺作用により、視力や視野、反応速度、判断力などが低下する危険な行為です。具体的には速度超過や信号無視などの無謀な運転、車間距離の判断ミス、ブレーキを踏むまでの時間の遅延、危険察知の遅れなどの危険な運転が挙げられます。
令和6年(2024年)中の飲酒運転による交通事故件数は2,346件で、死亡事故率は飲酒していない場合に比べ、約7.4倍も高くなっています(警察庁調べ)。
また、飲酒運転による死亡事故の特徴は
・発生時間は22時から6時までが全体の約6割を占める
・年齢層別に見ると30歳未満の年代が多い
・飲酒死亡事故件数は30歳未満では22時から6時まで、65歳以上では14時から22時までに多く発生
・運転者の飲酒状況は、酒酔い又は酒気帯び(呼気0.25mg/l以上)が約7割を占める
・アルコールの影響が大きい状況では、車両単独による死亡事故が多く発生
・単独事故の割合が約6割と高い
・死者数の約7割は運転者・同乗者だが、第三者の死者数も約3割に上る
となっています。
このように、飲酒運転は重大事故を引き起こす危険性が高く、自分だけでなく他人の命を奪うことに繋がるケースも多くあります。
4.アルコールチェックの重要性
2022年4月から白ナンバー企業のアルコールチェック(確認・記録保持)が義務化、その後の2023年12月からはアルコール検知器を使用した酒気帯び確認も義務化されています。
酒気帯びの基準値は0.15mg/l以上です。基準値以上のアルコールが検出されれば車の運転はできなくなります。
企業におけるアルコールチェックは
・飲酒運転の防止
・事故リスクの軽減
・法令遵守
など、飲酒運転という大きな社会問題を未然に防ぐ重要な役割があります。
個人においては、「自身の命を守る」役割を担っています。
日頃業務で運転する方々目線では、アルコールチェックによって訪問先への訪問が遅れるなど困りごともあるかもしれません。
しかし、アルコールチェックを怠った結果、飲酒運転になってしまい自身だけでなく他者の命を奪ってしまっては本末転倒です。
アルコールチェックを行う際は時間に余裕をもって行うことも重要です。時間や気持ちに余裕がなくなると法定速度を超過した運転などによる死亡事故発生リスクの増加、交差点での安全確認不足や一時不停止による出会い頭事故リスクの増加など、交通事故の発生リスクを高める場合もあります。
業務上の運転においても日頃から安全運転を意識することが事故リスク低減につながります。
5.アルコールチェック代行サービスを利用する
アルコールチェックは基本的に安全運転管理者が行いますが、アルコールチェックを代行することも可能です。
事後報告は法令違反に当たります。安全運転管理者がリアルタイムでアルコールチェックを行えない場合は代行サービスを利用しましょう。
6.まとめ
5月5日にも横須賀で酒気帯び運転による交通事故が発生しています。飲酒運転は反応速度が遅れたり、判断力が低下する危険な行為です。
法令を遵守したアルコールチェックをきちんと行い、業務上の交通事故の発生を未然に防ぎましょう。
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