安全運転管理者制度について/弁護士から見た交通安全

2022年4月1日から道路交通法規則の改正で施行された「白ナンバー事業者のアルコールチェック義務化」について、全5回に渡って現役弁護士が解説してまいります。第2回は、安全運転管理者制度についてです。
※本記事は損保業界の動向・最新データを掲載する新日本保険新聞(損保版)2022年6月20号に掲載されたものの転載です。

ジェネクスト株式会社 取締役CLO
川崎武蔵小杉法律事務所
弁護士 橋本 信行

安全運転管理者制度について

前回は,今般改正された道路交通法施行規則とその背景事情についてお話しいたしました。今回は,改正の対象となった安全運転管理者制度について,詳細を見ていきます。

安全運転管理者制度とは,後述するような一定台数以上の車両を使用する事業所等において,自動車の安全な運転に必要な業務を行わせる者を選任させ,道路交通法令の遵守や交通事故の防止を図ることを目的としています。
該当する事業所は,安全運転管理者や副安全運転管理者(以下,本稿では合わせて安全運転管理者等といいます)を選定し,県公安員会に届け出なければなりません。


安全運転管理者の選任が必要なのは,
 自動車を5台以上使用する場合(自動二輪車1台は0.5台で計算)。
 ただし,定員11人以上の自動車を使用する場合,また,自動車運転代行業者や貨物自動車運送事業法の規定による貨物軽自動車運送事業者の場合は,車両が1台でもあれば選任が必要です。

 副安全運転管理者の選任が必要なのは,
 20台以上の自動車を使用している事業所(20台以上20台ごとに1人)
ただし,自動車運転代行業者については,10台以上10台ごとに1人と定められています。

※ なお,運行管理者を選任している事業者や,車両の数が法定の台数に満たない事業者も,より一層の安全を図るため,任意に安全運転管理者を選任,届出することは可能です。


次に,安全運転管理者等の業務内容については,車両の運転者に対する安全教育など,自動車の安全な運転に必要な業務となります。具体的には,運転者の適性等の把握,安全運転確保のための運行計画の作成,長距離及び夜間運転時の交代要員の配置,異常気象時等の安全確保の措置,点呼等による安全運転の指示,運転前後の酒気帯びの確認,酒気帯びの内容の記録と保存,運転日誌の備え付けと記録,運転者に対する安全運転指導などが挙げられます。

飲酒等の有無の確認については,令和4年4月1日施行の改正施行令の前から,すでに義務とされていましたが,改正後からは,運転前後の運転者の状態を目視等で確認し,記録を1年間保存することが明示的に義務づけられたことが注目されます。さらに,同年10月1日からは,国家公安委員会で定めるアルコール検知器を用いて確認すること,アルコール検知器を常時有効に保持することが新たに義務付けられています。このように施行を半年ずらしたのは,企業側がアルコール検知器を用意するための一種の猶予期間としての配慮ですので,この間にぜひご準備されることをお勧めします。

副安全運転管理者の業務は,安全運転管理者の補助となります。事業所の保有する自動車台数に応じて選任が義務付けられるものですが,基本的には,安全運転管理者と同様の実務を行うこととなります。
これも,法定台数にかかわらず任意に選任してかまいませんので,法的義務がない場合でも,実際に安全運転管理者の業務が不十分となる場合は,安全運転管理者を補助するために,選任をご検討ください。

現実には,事業所の従業員の勤務形態や労働状況によって,安全運転管理者に定められた業務内容を徹底することは難しい場合が考えられますが,それでも,事業所ごとのマニュアルを作成するなどして,可能な限り,制度の徹底に努める必要があります。

重要なのは,自動車を使用する事業所において,客観的な視点で,業務に従事する運転者が安全に業務を行える状態であるかどうかの判断をするための,第二,第三の目を設けることです。それによって,多発する痛ましい事故を未然に防ぐ防波堤となり,労働環境の見直しや運転者の危機管理意識の向上にも繋がると考えられます。

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